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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

さらば外務省を読む

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さらば外務省」天木直人2003年9月刊
筆者は元駐レバノン特命全権大使。すなわちピカピカの「外務官僚」だった。しかし、2003年8月29日辞職勧告を受け事実上退職を宣告された。なぜか?直接の動機は、時の総理小泉純一郎あてに、ブッシュ政権の対イラク戦争を正当化し、日本もアメリカの支援をするようなことをしないように、呼びかけた「具申書」を送ったからだ。簡単に言えば日本政府の方針に「たてついた」からである。国民の前に「高い」と言われた支持率にあぐらをかき、次々と独断的政策を推進していた小泉政権ではあったが、「マスコミの前の顔」と「アメリカ首脳部の前に出た顔」では別人であった。およそ国内での発言とは対照的に屈辱的態度でアメリカの支持に従い、御用聞きのごとく振舞っていたのだ。だから、イラクへの戦争戦略に対してもいち早く、「支持」の旗を揚げたのだ。中東の大使として、日本の置かれた立場を重く認識していた氏は、一方的にアメリカ支持を世界に表明することは日本の国益にマイナスであると強く思っていた。そして、葛藤の末意を決して、思い切った行動に踏み切ったのである。
結果的には、「公務員としてあるまじき姿」との判断を組織及び権力側から宣告され、時の外相川口順子より退任の辞令をうけることになったのだ。一公務員の選択した行為としてはまことに勇気のいる判断であっただろう。しかし、日本の首脳部はいかにもワンパターンな判断しかしてこなかった。
小泉氏がブッシュ大統領の発言を強くアシストしていたが、結局「大量兵器」は発見されなかった。つまり、うそつきブッシュと小泉純一郎は「同罪」だったのである。作者の主張に正当性があったと考えるのは私だけだろうか。政権は変わっても国内では「イラク戦争」の犯罪性と責任者の追求はうやむやのままだ。「原発事故」の処理にも通ずるものがある。
なんといういい加減な国だ。

by tomcorder | 2012-09-21 10:04

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