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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記1月5日(土)

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 「大震災後の日本経済」 ~100年に一度のターニングポイント~
                   野口悠紀雄著 2011年5月刊
東大工学部出身の経済学者、元大蔵官僚という経歴の持ち主。独自の経済理論を駆使し、前代未聞の大災害に直面した日本の経済状況に対し、斬新かつ辛口の分析提言を展開している。経済の専門家と言う立場で、かなり「専門用語」の解説まで試みているが、「素人」の読者にはやや難解な箇所もあったが、目をつむって通過してしまっても、全体的な主張はほぼ理解できたように思う。
 大震災による経済的な「ショック」を戦後のいくつかの「ショック」的事象と比べて分析している点は分かりやすく、氏の説明によれば、「需要不足」な状態にあった状態から一気に供給パニックに陥ったことを「供給側のショック」と位置づけている。復興投資が有効需要とならず、「クラウディングアウト」を引き起こしたと言っている。これは「石油ショック」に似た現象であり、総需要抑制、金融引き締め、円高の容認等が重要であると氏は説いている。また、復興の過程で電力供給の問題が「ボトルネック」になることも指摘し、電気料値上げという関所を避けて通ることはできないとも提言している。ただし、新しい電気料金の体系を考えることで、より効率的な電力利用の道を探すことも可能だとも言っている。復興財源についても、「安楽な方法」は存在せず結局は国民の「痛み」を通して財源を捻出しなければならない。その場合「国債」という手段か「増税」と言う手段か、という選択になるが、氏の考えでは「税」で負担した方が健全性が高いと主張している。誰しも「増税」は避けたいが、「足長じいさん」を外国に求めることは出来ないというのが誰にも否定できない現実ではある。
 今後日本が震災を乗り越え経済的に復興してゆくには、今までとは価値観を変え「大転換」をはかる必要があると筆者は主張している。従来の「物つくり日本」の伝統から抜け出し、国際関係の中で日本の特徴を活かして行く道を探すべきというのが氏の訴えということか。
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by tomcorder | 2013-01-05 19:11 | 日記