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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記2月7日(木)

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  「ホットスポット」  <ネットワークで作る放射能汚染地図>
            NHK ETV特集取材班 2012年2月刊
当然のことながら一つの組織にはいろいろな構成員がいる。「NHK」という巨大組織にもいろいろな「顔」がある。こと「原発報道」に関し2011年3・11以降その報道のスタイルの偏向性に驚き、「客観性」という隠れ蓑の裏で、原子力村サイドに立った、画一的報道姿勢に疑いの目を向けた視聴者は多かったはずである。その後も一貫して「原発批判報道」を封印してきた姿勢は、心ある視聴者から鋭く追及されていた。「反原発の抗議行動」に対しても「NHK」の報道は抑制的でアリバイ作り的放送手法と言われても仕方の無い状態であったことは否めない。しかし、どんな会社にも「つわもの」はいる。本書に登場する取材スタッフは、それなりの「覚悟」をもった面々であるようだ。
 上層部の指揮をしたたかに潜り抜け、自らの主体性と信念に基づき、危険を感じつつも、挑戦的に取材を続けたのだ。日頃「全くNHKはしょうがない」と感じている人間でも、「NHKにもこういう取材陣がいる」ということを認めざるをえなかったし、改めて、内容のある番組もあると強く再確認した。これらの取材陣の個人名は、増田秀樹プロデューサーを筆頭に、七沢潔、大森淳郎、石原大使、梅原勇気、渡辺考、山口智也の各氏である。
本書を通し、彼らは実際に体を張って、現在進行形での福島原発被害の実態を伝えている。各氏の報道姿勢に心から敬意を表したい気持ちになる。現実的には「30km圏内報道管制」が敷かれていたのだ。それを知りつつ、あえて自分達の主張を貫こうとする各人の心意気に報道人としての魂を感じざるを得ない。当然のことながら組織上層部との葛藤場面もあるし、上層部からの「思想チェック」が行われていることもはっきりした。「京都大学k氏」が問題視されていることも歴然とした。
NHKは確かに大組織である。その報道の姿勢は大いに問題性をもっていることは否定できない。特に「誰を大事にする組織なのか」非常に疑わしい。しかし同じ組織の中にも「本気で」取り組む記者はいる。NHKの信頼は「視聴率」ではなくこういったスタッフが支えていると痛感した作品であった。
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by tomcorder | 2013-02-08 10:39 | 日記