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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記2月10日(日)

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「原発訴訟」 
    海渡雄一
                                 2011年11月18日刊
 筆者は1955生まれの弁護士。もんじゅ訴訟控訴審や、浜岡原発訴訟など30年間に渡り訴訟を手がけてきたが、その全体像について解説している。第1章で原発訴訟の枠組みを具体的に解説、第2章では全国の原発訴訟の焦点となっている地震と耐震設計をめぐる論点を掘り下げ、第3章では福島第一第二原発と東京電力に関する過去の事故と紛争経緯を振り返って、福島第一原発事故の原因と想定外であったかどうかの検証をし、東京電力の賠償責任について論じている。特に本書では、第4章において,被爆した労働者の「労災認定」と損害賠償の事例や問題点についても論じ、今後のあるべき姿に焦点をあて追求している。長年の弁護士としての活動の蓄積から構築した、作者ならではの着眼点と論理的考察により、日本の原発労働者の置かれた,不安定な立場を適格に捕え問題提起していると言える。
 過去の原発訴訟の足跡を振り返ると、決して原告側の勝利が続くことは無かった。いやむしろ、ほとんどの場合原告側の敗訴が圧倒的に多かったといえる。しかし、この結果は順当な結果とは言いがたい。司法の判断は決して事故防止や安全性確保の方向には原発の進路を向けなかった。その結果が福島第一原発事故という結果であり、戻ることことの出来ない道筋を作ってしまった「司法の取るべき責任とは何なのか」国民は見逃すべきではない。具体的な事故の責任論は勿論必要であり、「原子力むら」の存在は絶対に追求の対象から逃れることはできない。その中に「司法」そのものも決して枠外でないことを作者ならずとも叫ばざるを得ない。
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by tomcorder | 2013-02-10 18:08 | 日記