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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記2月28日(木)

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  「第五福竜丸から3.11後へ」 /被爆者大石又七の旅路
                             小沢節子    2011年10月刊
3.11の大災害より遡ること6日前、2011年3月5日よりこの書籍のための取材は始まった。場所は埼玉県東松山市「丸木美術館」取材対象となった人物は詩人アーサービナート氏、第五福龍丸に乗り1954年にビキニ環礁付近でアメリカの水爆実験のため被爆した、大石又七氏である。きしくもこの日は日米の芸術家の立場から、57年前の事件を捉え返す企画展が行われており、大石氏の講演会が企画されていたのである。本書はその時の大石氏の言葉と、今までの経歴や書籍から、氏の足跡をたどり、改めてその主張や、社会全体に投げかけてきたテーマについて再確認しようというものである。
 俗な言い方をすれば「大石又七」ガイドブックとも言える作品でもある。小品ではあるが、作者の大石氏への傾倒、信頼は並々以上のものがあり、その証明のために本書が形を見たといっても良いのかも知れない。しかし、大石氏の人となりや、被爆してから現在に至るまでの生き様は、既に出版された書物で知識を得たものなら、恐らくだれどもその圧倒的迫力と実行力に脱帽してしまうだろう。誰かが語った通り、「ビキニ事件」をしっかり分析し、被害者の辿った経過や、国家の選択した対応を検証すれば、核をめぐる大きな社会の流れが見えてくる。そして、それは福島で起きた原子力災害に対しても、共通した危険や問題点を内包していて、やはり「核の脅威」として民族の、世界の未来を脅かしている。大石又七氏が闘ってきた問題は、「被害者の救済」という具体目標と同時に、全ての「核」への危険を訴え、悲惨な事故への警鐘を続けていたのだ。多くの日本人はもっと早く気がつくべきであった。読者一人ひとりに呼びかけ、これからの生き方を考えさせる、・・そんな副題を備えた書でもある。 
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by tomcorder | 2013-02-28 19:49 | 日記