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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記3月19日(火)

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  「電力の社会史」     <何が東京電力を生んだか>
                            竹内敬二著  2013年2月刊
 著者竹内敬二氏は1952年生まれの朝日新聞編集委員。京都大学工学部出身で、環境・エネルギー・原子力・電力制度などを中心に取材、報道を続けてきた。本書は福島原発の過酷事故後2年が経過した現在、原発に対してどう考えていくべきか、又原発事故の総括をどのように分析し、今後の日本の電力未来図をどう描くべきかについて、克明な資料をもとに、落ち着いた視線で理性的に論考している。...最近の関連書籍の中では、信憑性の高い資料から、説得力のある解説ならびに主張を展開しており、論理の構成が大変しっかりしていると感じられた。感情的な表現に走ることなく、あくまでも具体的に、事実に即した説明をし、その上で問題点にスポットライトをあて、正すべきは大胆に指摘し批判している点は信頼がおける。特に世界の情勢や各国の辿ってきた道筋を客観的に分析比較し、歴史の流れの中で、我が国の電力政策を論じようとしている構成は大変分かりやすく、問題点を浮かび上がらせることに成功していると感じさせる。
 そういった流れのなかで、我が国の電力会社、電力行政の特質と課題がはっきりしてくる。発送電の分離や電力の自由化のモデル等についても、現実がよく見えてくる。ヨーロッパやアメリカに比べて我が国の電力事情がいかに特殊で、ある意味「遅れているか」よくわかる。そういう「お国事情」のなかで「東京電力」という「問題会社」が肥大化してきたかが見えてくる。重いメッセージを込めた作品と見えたがどれだけの読者の支持を広げられるだろうか。 
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by tomcorder | 2013-03-19 22:00 | 日記