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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記3月21日(木)

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  「見えない恐怖」  <放射線内部被曝>     松井英介
                                          2011年6月刊
 タイトルの如く、「見えない恐怖」とは放射能の恐怖ということである。それも、「外部被曝なら、被害は比較的はっきりと視覚的にも確かめることが出来る。つまり目に見える要素が強い。しかし「内部被曝」となると「被曝したことを感じ取ること」が難しいし、その影響も時間をかけてじわりじわりと現れるので、気がつかないこともある。つまり「見えない」のである。本書は原爆や核実験、そして原発事故などによ...る放射能被害のうちでも、具体的被害の実態が個別に実証しにくい「内部被曝」に焦点をあてて、過去のの事例の解説や問題点などを指摘し、今後のあるべき姿を投げかけている。筆者は、放射線医学を専門とする医師であり、これまで環境問題や放射能問題にNPO等の活動を通して関わってきた。今回3,11の大震災時に発生した福島第一原発の事故に直面し、専門家の視点から、放射能被害の諸断面を詳しく解説し、過去の事例の中から具体的に説名するとと共に、被害の実態と、それを取り巻く諸々の社会的要素を、事実に基づき厳しく論評している。従来の一般的データを参考にしつつも、考え直すべき点については、鋭く問題点を指摘し、最新の知見からあるべき姿や見方を投げかけている。
 基本的には、原子力を利用し推進していく立場の論理ではなく、あくまで「被害者」の側の論理で解明してゆく姿勢を貫いている。そのための重要な視点が「内部被曝」に調査の重点を置き、被害の実態を解明してゆく必要性を説くことである。そのことを明らかにしてゆくことにより、原発事故等による被害の実態図が浮かびあがってくるのであり、ことの重大さが世間に見えてくるのではないだろうか。現在マスコミ等で論議されている被害の理解され方の中には、ややもするとICRP等の基準をもとにした被害の判断が一般化されようとする動きもあるようであるが、作者の言う通り、最新の知見、新しいデーターの示すところから考察してゆけば、違った見方も見えてくることもある。そのキーワードを一言で表現しているのが「内部被曝」ということなのである。
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by tomcorder | 2013-03-21 18:14 | 日記