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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記3月26日(火)

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  「内部被曝」              矢ヶ﨑克馬 守田敏也
                                                            2012年3月 岩波ブックレットNo.832

 著者矢ヶ﨑克馬氏は1943年生まれ、沖縄県在住の理学博士、理琉球大学名誉教授。定年退職後「内部被曝」に関する講演会や原爆認定訴訟での証言等を続けている。一方の守田敏也氏は1959年生まれ京都市在住のフリーライターで、社会共通資本の研究や環境問題に関わる取材や各種プロジェクトに力を注いでいる。本書は守田氏の質問に矢ヶ﨑氏が答えるという形で構成されており、福島原発事故以後しばしば話題に上る、「内部被曝」について、そのメカニズムから詳しく説明し、放射線被曝に対するより正しい認識を呼びかけている。一言に「被曝」といっても、その原因と障害を起こす仕組みは、画一的ではなく。被曝の元たる放射線も何種類もある。それらは飛距離ヤエネルギー量が違っていて、何がどこの部分でどれくらいの量どれくらいの時間当たったかによって違ってくる。いわゆる「低線量」でも体内で直接的に継続して被曝する「内部被曝」は軽く見られる傾向もあったが、決して「心配ない」ということはなく、十分調査し障害の備える必要がある、としゅちょうしている。一般に福島原発事故後、政府のとってきた姿勢は一貫性や科学的根拠がかけており、被災者の立場にたった、人命尊重の基本理念にかけている、とも主張している。原始爆弾の登場以来始まった人工放射能による被曝の歴史をたどると、人類のたどってきた「闇」の部分が浮き上がってきて、軍事優先の国々の指導者がいかに「被曝の事実」を隠蔽しようとしてきたかが、明らかになる。そのような中で我が国での放射能被害に対する対策でもよく聞く「ICRP」という機関に対しても、その問題点を指摘しており、「内部被曝」に対しICRPは過少評価しすぎていると
避難している。筆者の言うとおりICRPの説く「経済的社会的要因」により「基準値」が定められると言う発想は、「政府や電力会社」の側に立った発想であり、人命を何より尊重するという理念が後退していると、言わざるを得ない。これに対し、ヨーロッパの基準とも言えるECRRの基準の方が内部被曝の危険性をより重視している基準といえそうだ。広島・長崎後原爆症の認定でも内部被曝は認知されるのは難しかった。しかし、世界が「核実験停止」に向かう1960年代末まで、日本の5~9才までの癌の死亡率は5年おきに確実に上がっていたし、最悪戦前の7倍まで増えていたのだ。このような客観事実からしても、たとえ空間線量は低レベルであっても、持続的に内部被曝することがもたらす影響は決して無視することができないのではないだろうか。今後報告される「福島以降」の事実がどんな結果になるのか恐れを感じないでいられるとしたら、「無神経」ではないだろうか。
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by tomcorder | 2013-03-26 10:29 | 日記