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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記4月1日(月)

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 「隠された被曝」 矢ヶ崎克馬    2010年7月刊

福島第一原発事故前8ヶ月前の出版。作者は沖縄に在住の理学博士、琉球大学の元教授。広島・長崎の被爆、被爆の様々な資料をもとに、今までたどってきた放射能被害の実態や、被爆者認定のあり方や、被爆のメカニズムならびに障害発生に対する認識と評価を、厳しく検討し直し、その欠陥を痛烈に批難している。原子爆弾を世界で始めて使用し、今なお世界最大の核保有国であるアメリカが、その核戦略維持のために、日本の放射能被害の認定に対し誤った基準を強引に押し付...け、世界の放射能、放射線被害の考え方を歪めてきた事実を声高に攻撃している。その戦略は意図的であり、核兵器がもたらした想像を絶する被害を、作為的に隠蔽し矮小化するための戦略であり、詐欺的行為でさえあると訴えている。具体的には戦後の日本でのABCCでの調査活動、並びに後のRERFにおける、被爆者認定のあり方は非科学的であり、現代の知見からは到底容認されるべきではないと強く主張している。又アメリカの見方優先の考え方を受け継いでいるICRPの基準も内部被爆を基本的に認めておらず、その判断基準が根幹において時代遅れであり、被災者の実態を直視していないと、その姿勢を根本的に疑問視している。放射線の説明においてかなり専門的な記述もあり難解な部分もあるが、全体を通じて強調されていることは、外部被爆に比べ内部被爆は僅かな放射性降下物質を取り入れただけで、致命的な影響を受ける可能性があり、断じて過小評価できないということ。又世界の基準として考えられそうに進んできたICRP基準が実は大きな欠陥があり、世界の判断を間違った方向に誘導する働きをしてきたこと等が重要な点として指摘されている。
 そのような状況のなかで、2012年3月、福島第一原発で大事故が発生してしまった。広島・長崎、ビキニ、チエルノブイリと続いた被曝の恐怖は最早避けられない現実になった。客観的事実に目を向けできる対策を急がねば、被害は計り知れないほど広がるかも知れない。作者の指摘が過剰であるかどうかは今後の被害者のデータが答えを出してくれる。しかし、その時「初めて気がついた」のでは遅すぎる。
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by tomcorder | 2013-04-02 00:01 | 日記