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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記4月17日(水)

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  「ヒバクシャ・イン・USA」       春名幹男
                              1985年7月刊
 「日本は唯一の被爆国である」と日本人は思っているかも知れない。しかし1980年代の初めに発表されたニューヨークタイムズの記事より、その思い込みが事実でないことが、はっきりしたのである。確かに日本は世界で唯一原子爆弾を「兵器」として投下され被爆した国である。しかし、原爆が爆発したのは日本だけではなかった。アメリカは自国の領土内で何度となく、核兵器を爆発させ、兵士、作業員、近隣従民を多数被爆させていた。放射能の被害に苦しみ、命まで奪われたのは日本人だけではなかった。「殺戮のための爆弾の投下」こそなかったものの、様々な被曝の被害が報告され、多数の人々が命を落としたり、重い障害に苦しんでいたのだった。その被害に気づき、治療の保障や損害の賠償などを政府に求めても、認められることは極めて難しいことだった。広島・長崎のヒバクシャだけでなく、米国でも「ヒバクシャ」は数々の訴訟に訴えてた闘った。しかし、日本以上に被害を認めさせ保障を勝ち取ることは難しかった。米国の法律では「軍人は政府を訴えられない」ことになっているため、従軍中の活動に起因する被爆は認められにくく、被爆線量との因果関係の立証が難しいのが、壁になっている。しかし、低線量被曝に対しても新しい研究の成果も進んできたので、判断基準の見直しも叫ばれる時代になってきた。特に「内部被爆」の影響については新しい研究が進み、「広島・長崎の被爆放射線量の正しい解析が、加害国アメリカの各被害者救済のカギを握る」等と皮肉とも取れるような見解を述べる論者もいる。印象的なのは、本書巻末で元米国軍人で「原潜の父」とも呼ばれる人物の言葉だ。「原子力は放射線を生み出す限り価値はない。人類は滅亡し、頭の良い新しい生き物が地球に登場するだろう」という言葉を残しこの世を去った。
現代は、日・米に限らず、原子力に手を出した多くの国々が、多少の差こそあれヒバクシャの問題を抱えていると考えるべきである。世界中の「ヒバクシャ」の連帯と広く社会運動としての進展の中でこの問題が論じられる時代になってきた。
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by tomcorder | 2013-04-17 23:35 | 日記