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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記4月21日(日)

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  「アフガン帰還兵の証言」   スベトナーナ・アレクシェービッチ<三浦みどり訳>
                                1995年10月刊
作者は1948年ウクライナ共和国生まれのノンフィクシオン作家。ベラルーシ大学のジャーナリズム科を卒業後、問題作を発表し様々な反響を呼んだ人物である。戦争、原発事故、といった重いテーマに正面から取り組み、ジャーナリストの原点に立った、真摯な取材活動を続け、既成の価値観を揺るがすような、ショッキングなまでの報道表現により活動を続けた。その影響は、かつてのソビエトでは稀な現象であり、作者も予期し得なかったような反応を巻き起こし、取材対象者の一部から訴訟を提起されるような現象まで波及してしまった。対象にした問題そのものの持つ深刻さ、異常さから、ある意味では「予測のつかなかったシナリオ」であったかもしれない。しかし、だれも正解を探すことのできない、国家の不条理、歴史の闇に挑んだ結果だったとも言えるかもしれない。べトナム戦争を経験したアメリカ、アフガンの戦争で泥沼にはまったソ連。大国と言われる国が犯した過ちは、戦闘の舞台となった国々に取り返しのつかない被害と後遺症を残したばかりでなく、自国の兵士達をはじめ決して癒されない深い傷跡を代償として引き受けることになった。正に真の「戦争の勝者」など存在しない所以だろう。容易に語れない真実、闇は深い。
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by tomcorder | 2013-04-21 20:11 | 日記