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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記5月6日(月)

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  「脱原発から、その先へ<ドイツの市民革命>」    今泉みね子   2013年3月刊

 作者はドイツのフライブルク市在住のフリー環境ジャーナリスト。3.11以降、いち早く脱原発へと舵を切ったドイツ。市民レベルの環境活動で培った草の根運動の力が一気に花を開き、各地で自然エネルギー利用が花盛りである。「原発をやめると電気料金が上がる?」「フランスの原発との関係は?」といった気になる話題に対し、具体的な回答を示していて興味深い。確かにドイツは「環境先進国」と呼ばれ、エネルギー政策に関し、世界の先端を進んでいると言ってよさそうだ。しかし、太陽光発電の技術等に限定していえば、かつては日本が最先端を行っていた時代もあった。技術で一時世界をリードしていた日本がなぜドイツに差をつけられ、一歩も二歩も、いやもっと大きな遅れをとってしまったのは何故か?・・・・本書にはその訳を理解する具体的な解説が時の流れにそって詳しく繰り広げられている。一言でいうならば、自然保護、環境保護に対する国民的意識の高まりと、市民レベルでの民主的なシステムの積み重ねと、それを保障する政治的な枠組みが時代を追って構築されてきた、ということになる。我が国の現在と比べて違うのは、技術の差ではなく民衆レベルの考え方と政治の在り方が根本的に違っているといいえるようである。原発事故を起こした日本が原発に対し一貫性のある政策を維持できないのとは対照的に、ドイツは他国の深刻事故を真摯に見つめ大胆に政策を変更させ再生エネルギー実用化の方向に決断したのである。正に日本とは圧倒的に「政治力」のレベルが異なっている。民主主義の内実の違いともいえるかもしれない。
 先の大戦でともに「敗戦国」となり戦後幾多の困難を乗り切ってきた点では、共通した所もあった国同士であったのに、いつの間にかずいぶん骨組の違う国になってしまった。昨今の我が国は一体どうなってしまったのだろう。何を学んできたのだろう。
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by tomcorder | 2013-05-06 22:44 | 日記