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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記5月14日(火)

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「渡辺治の政治学入門」   渡辺治  2012年11月刊

作者は一橋大学名誉教授渡辺治氏。氏が大学を退職後最初の著述である。主に民主党政権の成立から崩壊までの変遷を、「新自由主義と反構造改革の動き」との観点から分析・解説をした一連のシリーズである。氏の説によれば自民党も民主党も「保守2大政党」の構想にのっとり政権担当政党として歩んできた。ともに保守の枠組みの中での政権のやり取りを想定して存在していたが、民主党政権の成立は、行き過ぎた新自由主義へのゆがみから出た「反構造主義のエネルギー」の表出として、鳩山政権の誕生を見たという。しかし、保守の枠組みから果敢に飛躍しようとした鳩山政権は、アメリカと財界から猛烈な反感をかい、早々に行き場を見失った。そして管、野田政権とも保守への回帰ともいえる新自由主義的政権に立ち位置をもどし、自民党政治の延長的な政策をとるようになってきた。その結果が消費税の決断であり、TPPへの参加への意思決定であった。しかし皮肉にも自民党よりの政策に変更していったことが自らの政治生命を縮め、政権誕生時の民主党への期待はもろくも吹き飛んでしまった、というのが大方の筋書ということらしい。そして、右からも左からもそっぽを向かれた民主党が大きく後退し、小選挙区制の特性から、「票を減らしつつも」「自民党の大勝」という表向きの結果を出したのが先の選挙の内情だったということらしい。見かけは自民党の圧勝に見えたかもしれないが、実際は民主を離れた票は「維新に」そして「みんなの党」に大きく流れたというのが実態だという。民主から革新政党に移動した票が少なかった、というのも何か問題を秘めていないだろうか。派遣切りや反貧困問題が深刻化する中、反保守勢力が伸び悩む現状というのは、社会が「病んでいる」現れとは言えないだろうか。
しかし筆者は、地道に労働者を中心にした国民目線の政治勢力の結集を呼び掛けている。すでに、新しい時代を予見する連帯のスタイルも見え始めているし、反原発等の今までになかったタイプの市民運動の萌芽も広まりつつある。今後は決して悲観するばかりでなく、新しい運動の広がりを期待したいという点では筆者に賛同したい。
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by tomcorder | 2013-05-14 22:13 | 日記