ブログトップ

渡霧吐夢世界

tomcorder.exblog.jp

薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記5月16日(木)

a0292328_22403831.jpg

「内部被曝の脅威」<原爆から劣化ウラン弾まで> 肥田舜太郎、鎌仲ひとみ著2005年6月刊

 広島、長崎の原爆投下、ビキニ被爆、そして福島第一原発事故と我が国は放射能の被害に遭遇し、多くの人々が犠牲者となり、今後もどれほどの被曝の影響を受けるのか実態が分からず、不安におののく日々を余儀なくされている。世界に目を向けても多くの国々が放射能による様々な被害を受け、多大な数の犠牲者が命を落とし、今も被曝による傷病で苦しんでいる人々が後を絶たない。プルトニウムという人工的な核種を作り出してしまった人類は、その野望を満たすためか、次々に破壊やエネルギーを生み出す怪物を登場させ、その後始末もできないまま、逆に放射能という「魔物」の餌食になってしまった。核兵器誕生の段階で外部被爆も内部被曝も心配されていたのだ。米国では開発者自らがその被曝の影響を恐れ金属成分を体内から排出すべく点滴を受けていたのだ。またプルトニウムの被害を恐れたアメリカ政府は、かつてプルトニウムを注射して結果を調べるという、恐るべき人体実験を密かに行っていたということが明らかになった。したがって、初期の段階から放射線による影響が器具されていたにも関わらず、目的遂行のために、外部被曝以外の放射能の影響はさほど心配する必要はなく、低線量の内部被曝は健康被害を生まないとの立場をとってきた。広島・長崎の原爆被害に対しても、最初の2,3週間で死すべき人は死に、後から放射能によって「命を奪われることはない」と言い張ってきた。ECRRの等の機関の主張が発表されるまでは「内部被曝」の危険性が叫ばれる機会はあまりなかった。現在では「ベトカウ効果」の理論がある程度認められるようになってきたし、様々なデータからも内部被曝は「低線量」でも継続すれば重篤な被害をもたらすことが認知されつつある。また原子炉で使用済みになった、劣化ウランであっても、兵器として使用された結果、各国で時間の経過とともに悲惨な被害が出ていると報告されているが、それを検証することは現在でも困難さがある。しかし、現地で多くの被害者を見てきた著者の言葉を聞く限り、劣化ウランの影響も内部被曝の例として十分考えられる。原発事故の影響も、仮に直接外部被爆による被害者がでなかったとしても、時間を追って内部被曝による犠牲者が発生することは十分予測されるし、チェルノブイリの事故でも莫大な数の犠牲者が発生している。しかもICRP予想より内部被曝を厳しく評価するECRR案によればさらに膨大な数の犠牲者が発生すると予測されている。我が国においても、福島第一原発事故から2年2か月経過した現在、今後どれほどの被害が出るか心配されるところであるが、新しい考え方や、過去のデータを総合的に見れば決して楽観視はできないと言わざる得ないのではないだろうか
[PR]
by tomcorder | 2013-05-16 22:41 | 日記