ブログトップ

渡霧吐夢世界

tomcorder.exblog.jp

薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記5月19日(日)

a0292328_21585432.jpg

  「内部被曝」     肥田舜太郎2012年6月刊
被曝内科医師、肥田舜太郎氏95歳の作。広島で被爆して以来6000人の被爆者を診てきた医師による内部被曝警告の書。筆者の67年の貴重な経験と研究を通して知り得た、多方面からの放射能による被害の実態と歴史を、科学的な視点を失わずにしかも被害者の立場に立って、詳しくわかりやすく説明している。氏は今後予想される大規模な長期に渡る国民規模の被曝に対し重大な警告をしている。氏の説明によれば被曝には大別して外部被曝と内部被曝があり、以前は内部被曝による被害は無視される傾向があった。特に核兵器保有国は原爆は破壊力は巨大だが晩発性の放射能被害はないとの立場をとり、米国政府は広島・長崎の被爆者に対しても内部被曝による被害を認めてこなかった。しかし、筆者の長年の経験・研究や、アメリカ、ソ連の良心的放射線科学者の革新的研究の結果、低線量内部被曝の脅威が徐々に「科学的に」証明されるようになってきた。その結果、肥田医師の言う「原爆ブラブラ病」と呼ぶような被曝症状が現実に起こりうることが証明されるようになってきた。世界的にも、内部被曝に重点を置く科学者の組織が新しい見解を発表するようになってきており、一口に「放射能」と言ってもその被曝のメカニズムは複雑であり、かつてのように、単純な線量の測定だけでは被害の実態を正しく予測できない、ということもわかってきた。そのような現状の中で、福島事故後の我が国の被害の広がりを予測すると、非常に心配される状況にあると言えそうである。各国の過去の事例を客観的に分析し、内部被曝の脅威を謙虚に受け止めるなら、日本の将来は深刻な被害が迫っている、と覚悟を決めねばならないようだ。その上で、我々に残された選択肢は多くはない。最早原発に期待する余裕などない。即刻に原発を止め、被曝の恐怖にブレーキを掛けねばならない。放射能は決して除去できない。一人ひとりが止める気にならなければ、日本は世界は滅亡する。95歳の作者は心から警告している。
[PR]
by tomcorder | 2013-05-19 21:59 | 日記