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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記5月26日

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「安倍政権と日本政治の新段階」 <新自由主義、軍事大国化、改憲にどう対処するか>  渡辺治著   2013年3月刊

作者の言葉を借りるなら、本書は前著「渡辺治の政治学入門」の続編である。しかし、それは最初から予定されていたものではなく、前著において予測された「保守大連立」のが先の衆議院の解散総選挙により、結果として自民党が大勝し、民主党が大敗し・自公民よる大連立の可能性がなくなり、未だかつてなかったような政治の方向性が新段階を迎える事態に至った。この急変は作者自身も短期的には予測していなかったことであり早急に新段階における安倍政権の今後を占う指標が必要になったと作者自身が、其の必然性を理由づけている。
 前回の選挙は誠に衝撃的な「自民の圧勝」という結果を世に知らしめた。しかし、氏の賢明かつ地道な投票結果の分析を熟読すれば、確かに数としては「大勝」の印象を与えつつもその内実は決して国民の強い支持を受けた、とは言い難いものであった。すなわち、「得票数」から言えば自民党も「減少」であり。その議席数には到底見合わない投票数であった。ないyぷ的に言えば、決して「自民の一人勝ち」ではなくむしろ「民主の一人負け」が目立った選挙であった、というのが、要を得た見方なるようである。「民主を離れた票」が自民でも、共産でも社民、未来でもなくその多くは、維新に、そしてみんなの党に流れた、というのが大きなながれであったようだ。「自民、民主の2大政党時代」に終わりを告げ、自民を軸にした保守連合の右傾化政権がハンドルを握る、危険性を各所に潜ませた、戦後もっとも「危険性をにおわせる政権」が誕生してしまった。「アベノミクス」というキャッチフレーズが先行する安倍政権はその支持率の好調さを武器に、原発維持、TPP参加、軍事大国化、そして改憲という、これまでの自民党政権の願望を丸出しにした、問題点満載の政策を推し進めようとしている。戦後これほど国民の福祉と安全が危ぶまれる内閣はあっただろうか。
筆者の判断によれば第二期安倍政権は、「新自由主義」と「構造主義」の合体を試みるものであり、最悪の組み合わせだという.
日米関係のしがらみや経済界の要請の中から、多様な矛盾に包まれた安倍政権の見通しは「極めて悲観的」であり、論理的に行き詰まる必然性をもっていると筆者は主張する。湯水のごとき財政出動により、強引に政策を進行させようとしても国民の生活基盤を根本的に向上させる見通しは暗く、ますます「貧富の差」が拡大する社会が危惧されるし、原発の危険性も少しも解決に向かう兆しがない、そして軍国主義化やTPPの行く先には、国民はどんな日本の未来を描き出せるというのだろう。悲観的な状況の中で、それでも筆者は「民主的勢力の主体的な萌芽と連帯を期待すると結んでいる。昨年の東京都知事選に今までになかった、新しい連帯のスタイルが始まったと氏は強調している。この芽が大のきく広がることを作者の説に従い信じたいと思うのは私一人ではないと思う。
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by tomcorder | 2013-05-26 21:52 | 日記