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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記6月15日(土)

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EUメルトダウン <欧州発世界がなくなる日> 浜矩子  2011年12月刊

 何ともショッキングなタイトルである。マスコミに露出するたびに、過激なキャッチフレーズを飛ばし視聴者の注目を集めている浜矩子氏ではあるが、このタイトルもかなり刺激的だ。しかし、過激なタイトルがいつの間にか極自然であるかのような説得力を持っているのが筆者の人気の秘密なのかもしれない。
 EUという第二次世界大戦後のヨーロッパに生まれた、世界で最初の未知への挑戦に対し、作者は事例を過去の格言や神話、聖書、文学作品等に求め、巧みな話術で分析し、読者を納得させようとしている。単に経済学的論理の組み立てにとどまらず、社会学的、心理学的、さらには文学的側面から、この複雑にからみ合った理解しがたい、欧州の大問題を鋭い切り口で、入門者に説明するような語り口で繰り広げている。
 確かに、しろうと的価値判断から言っても、EUの選択した通貨統合、共同経済圏の構築といったユートピア的チャレンジは、想像を絶する問題点や矛盾を孕んでいると考えられる。一口に欧州と言っても様々な内情、国力の国があり、二十数ケ国の国が同一の通貨、経済的基準で運営する、ということは極めてリスクの高いチャレンジと思えてくる。アジアの遠方から、はるか彼方の地域を見渡せば、表面から見れば実に夢のある、正に「未来に目を向けた壮大な試み」と映り、「さすがヨーロッパ、先進国」とも考えらるが、浜氏がクールに(正に冷酷とも言える論調で)分析しているように、「うまく行かない理由」は限りなくと言っていいほど想定できる。
  確かに「夢」はすばらしい。しかし、ギリシャを始め枠組みからはじき出されるかもしれない立ち位置、におかれた国々にとっては、近い将来を予測することも困難な状況にあり。「夢」への代償は余りにも大きい。そして現在高台にいるドイツでさえも、決して未来を楽観できないのが実態だという。
地球の最先端を歩いてきたヨーロッパも、行く先のわからない道を選択してしまったようだ。どこにたどり着くかは現在誰にも分らない。
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by tomcorder | 2013-06-15 20:31 | 日記