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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記7月24日(水」)



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 「カウントダウン・メルトダウン」   船橋洋一 2012年12月刊  

 元朝日新聞主筆、ジャーナリスト船橋洋一氏が退社後、独立系シンクタンク「財団法人日本再建イニシアティブ」を設立し、福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)立ち上げ、事故調査検証報告書を刊行した。本書はその過程での一部始終を詳細に記した、「解説本」である。約300人に亘る政府関係筋からの聞き取り調査を経て、原子力ムラの関わりから独立した、自由な立場からの切り口で事故の全貌を暴き、原発の安全神話と原子力ムラの構造にメスを入れた。2012年2月28日委員会は「調査検証報告書」を発表し解散した。この一連の動きを作者はもう一度一記者に戻って、正にメルトダウンの軌跡を克明にカウントダウンしたのが、作者が語る本書の位置づけということらしい。
なるほど、民間事故調のキャップとして調査活動を指揮した筆者ならではの、詳細な内容が迫力ある情報源から、事件の真相に肉薄する「発言」が集められており、説得力ある内容構成になっている。記載されている項目の重さ、重要度と取材力の卓越さが光っている。具体的に言えば、政府幹部からの客観的発言、会議内容や、各省庁、東電幹部をめぐるやり取り、など克明な調書に基づく記述がされている。また、深刻な選択場面での東電、消防庁、自衛隊をめぐる紆余曲折なども詳細に描かれている。一時話題になった注水中止にまつわる官邸か東電かの疑惑、政府・東電の統合本部誕生のいきさつなど、時系列で記載されている所は注目に値する。さらに、作者ならではの観点としては、米軍や米政府の福島原発事故に対する考え方や、立ち位置の違い解説まで展開している点は、大変貴重である。単に憶測ではなく、事実に元づいて、アメリカの姿勢を分析している。重篤な危機に対しアメリカも苦悩していた。米国としての避難計画についてもいくつかの判断の違いがあった。立場による主張の違いもあったし、日本政府との関係という点でも、かなり橋のかけ違いがあったようだ。もちろん日米双方の立場の違いはあっても不思議はないが、「福島第一原発にどう対処するか」というテーマに対しては目指す方向は一致していたはずではあったが、日本政府のとった選択は、必ずしも米国の期待した方向とは一致しなかった。米国に対しては今も国論を二分している我が国の世論ではあるが、原発事故という思想信条を超えた「現実」に対し、米国の進言を聞いた方が良かったか悪かったか、今後の進展がその評価を決めてくれるだろう。ただ、言えることは、「日本の技術」は決して万全ではなかった。注水活動一つとっても、外国製の機器が危機を救ったのは事実だったし、日本のお家芸と思われていた「ロボット」も実際に働いたのは外国製だった。我々日本人は「神話」に弱い民族であることを認識したのは私だけではないだろう・・・・・・。

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by tomcorder | 2013-07-24 09:40 | 日記