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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記7月26日(金)

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  「沈黙の春」   Rachel Carson1962年刊

原題は「Silent Spring」まさに直訳ではあるが、最初翻訳版が日本で刊行された時は「生と死の妙薬」というタイトルで出版された。今にして思えば、直訳の方が内容の深刻さを如実に表現されている,と思うのだが、初刊発刊の際は何か直訳をためらう思惑があったのだろうか。この点についての解説はとくにはされいないが、翻訳者の意図を聞いてみたい所である。本書が刊行された時代は、戦後の復興期から高度成長経済に入り始めたころであり、日本全体が消費経済の真っ只中に突入したころであった。農薬や化学物質が多用されるようになり、公害問題の浸食が進行しつつあったが、広く社会問題となるにはまだ時間差があった。しかし欧米のいわゆる先進国では、徐々に環境問題がクローズアップされるようになりつつあった。本書はその先駆けとして衝撃的な、メッセージを世に投げかけた、歴史的な書籍とされている。
 日本では欧米の後を追う様に、やがて公害問題や環境問題が社会の重要テーマになってきたが、この時代はまだ、やがて起こる悪魔のいたずらに気が付かなかった。そういう意味でも非常に先見性のある著述であり、今から半世紀も前に、すでに作者は「人の遺伝子の中の染色体を破壊する要素の主なものは二つあり、一つは放射能であり、もう一つは化学物質である」と言いきっている。1960年代と言えば核実験の時代から徐々にブレーキがかかり始めた時代であり、原発が世界にはびこる前の時代だった。にも関わらず筆者は放射能と化学物質とを二大危険因子として警告していたのである。誠に当を得た指摘であり、見事に将来を予見した警告であった。
今はもうその時より病巣は進行している。果たして世界はCarson女子の渾身の警告に対し、誠意ある答えを見つけることができただろうか、あるいはできるのだろうか。疑問は残されたままだ。特に日本は時間を追って欧米を追いかけてきたが、「フクシマ」以降重い課題を背負いながら、この厳しい警告に向き合わねばならない。本書は「化学物質に」ついての警告が主体の主張ではあるが、これからの日本および世界は二つの重荷から逃れることはできない。「沈黙の春」の後に世界はどんな「夏」や「秋」を予見すればいいというのだ?

*Facebookに異常あり、どこからか更新を妨げる異常警告と圧力あり。どこの情報機関のなせる業か*
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by tomcorder | 2013-07-26 22:31 | 日記