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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記8月9日(金)

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  「被爆者医療から見た原発事故」<被爆者2000人を診察した医師の警鐘>
                                             郷地秀夫   2011年9月刊

 著者は1947年東広島市生まれ、東神戸病院院長を経て、現在東神戸診療所所長。被爆者医療に長年かかわり、兵庫県下2000人の被爆者の診療にあたってきた。その豊富な経験をもつ作者をして、福島原発事故の被害に直面する少し前まで、「原子力の平和利用」を信じ、安全神話の洗脳に取りつかれていたと独白している。それは、国全体を巻き込んだ強大な権力構造に対する怒りでもあり、同時に「被曝」の専門家でありながら、「核の本質」に迫り切れなかった自身への「自己批判」でもある。しかし筆者以外にも多くの人々が、福島以降原発のもつ犯罪性と核に対する国の政策の矛盾に気が付き、自らの認識不足を懺悔すると同時に激しい怒りを込め、政権に対し主体的に関わろうとするようになったのではないだろうか。これまでの国や電力業界、財界、官僚、学界・・・といったいわゆる「原子力ムラ」は強大な権力、財力、人力を使い、巧みに国民を「洗脳」してきた。ぞれぞれの狡猾な「闇」を一つ一つつなぎ合わせれば、正に広大なトリックが浮かび上がる。正に「騙しのテクニック」であった。紛れもなく国民は「騙されてきた」のである。核兵器の犠牲国となった日本が、口では反核を訴えながら、いつの間にか原発という形を変えた「核兵器」の虜になっていたのである。爆発的破壊効果が小さいとはいえ、その排出する放射性物質の量は広島、長崎の比ではなく、むしろ原爆以上に被害の甚大さが心配される「狂気」の「凶器」が50基以上も存在する時代になってしまった。福島原発事故の収束もおぼつかない今、一体これから我々は原発を制御し無害化することができるのであろうか。答えは誰にも分らない。放射線の及ぼす人体への影響は未知数な部分もあるが、従来の見識では計り知れないほど重篤な被害の予想も提起され、徐々にその科学的裏付けもなされりようになってきている。はっきりした結論が出るまでには膨大な年月がかかり、それまでに一体どれだけの被害者が出るのかさえ予測が難しい。ただ言えることは従来のICRP等の予測は「最低限」の予測であり、別の予測ではその100倍、1000倍という理論もあるのだ。福島事故の被害が今後どれほどのものになるかは現段階では確定的ではないが、今後原発をどうするかを国民の決意で実行しない限り、日本に最早未来はあり得ないということは、常識のある人間にははっきり見えている。見えないのは欲に取りつかれた拝金主義者の傲慢さの所以と言わざるを得ない。
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by tomcorder | 2013-08-09 21:48 | 日記