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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記8月19日(月)


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  「教科書から消せない歴史」   <「慰安婦」削除は真実の隠蔽>
                                   久保井則夫    1997年7月刊
 筆者の久保井則夫氏は大阪府摂津市の中学の教員(1997年当時)。教鞭の傍ら、歴史教育・同和教育に関わる解説・実践の書を多数出版し、日教組教研集会においても実践報告を発表してきた。本書発刊のきっかけは、話題をまいた「新しい歴史教科書を作る会」の動きに対し、教育現場に身を置く人間の使命感と責任感から、時代をを取り巻く流れに「危機感」を感じ、自らの研究調査から得た資料を武器に真っ向から反論に挑んだ著である。その後16年経過した、2013年現在でも、「慰安婦」問題は国内でも国外でも大論議を呼び、橋下徹発言では外交問題まで広がってしまった。ひとたび発言が電波にのると、あっという間に海外まで話題が波及し、重大な日本の外交問題にもなり、日本への非難が集まりやすい話題でもある。それだけに、政治家は慎重な発言をするべきであるし、教育の世界に政治的ご都合主義を持ち込むのは言語同断である。この点の立ち位置に関しては作者の主張は全く当をえているし、こどもの将来を考え、世界の中の日本を考えるなら、絶対に冷静な歴史の事実を踏まえ、「慰安婦」問題に厳しい視線をあて、客観事実とは何かをしっかり見つめなければならない。「拉致・強制に軍は関与しなかった。業者が勝手に行ったことであり、国家的責任はない」と主張するのが国家主義的的政治勢力の言わんとするところだが、すでにいくつかの資料により、軍が関与した事実は示されており、政府としても日本が国として非人道的な過ちを犯したことを認めており、謝罪もしているのだ。この期に及んで、「他国も同じことをやっていた、日本だけが責められるべきではない」などと言うのは、正に歴史の事実をまともに受け止めようとしない、後ろ向きな発言と言わざるを得ない。朝鮮民族ばかりでなく、「慰安婦」にされた女性は多数の国に及ぶのだ。しかも、沖縄まで朝鮮の女性が「慰安婦」として連れまわされ、地獄の戦禍の中を逃げ惑っていたのだ。軍人が待機する塹壕からしめだされ多くの慰安婦が犠牲になったという。挙句に果てには、本土まで「慰安所」が解説されたという。一部に「慰安婦は娼婦」と主張する向きもあるが、いづれにしても「日本軍のゆくところ慰安婦が連れまわされた」ことに違いはなく、まさしく軍のために「慰安婦」にされた女性が「性奴隷」として人権を蹂躙されたのだ。このことを真摯に受け止め誠意ある対応を実行しなければ、日本はいつまでも信用されないのではないか。「いつまで謝り続けるのか」と批判的に受け止める向きもあるが、それは「いつになったら本気で補償に取り組むのか」という言葉に置き換えることができる。「日韓条約」は「慰安婦問題」を説明していないし、元慰安婦達はまっとうな謝罪も補償も受けていないのだ。日本人なら「痛い」所を疲れるのは辛い。しかし、辛いところに目をつむって事実を隠ぺいしてしまったら、将来の子孫にも負の遺産を残すことになるのではないか。
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by tomcorder | 2013-08-19 10:20 | 日記