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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記8月21日(水)

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  「従軍慰安婦」   吉見義明著   1995年4月刊

 著者吉井義明氏は1946年山口県生まれの近現代史を専門分野にする歴史学者。中央大学商学部教授、日本戦争責任資料センター代表。たびたび話題に上がる日本軍「慰安婦」問題に対し、一貫して日本軍の「慰安婦」は戦場における一般的な意味での「娼婦」ではなく、軍が管理推進した「性奴隷制度」であり国家が関与した「犯罪」であると主張している。氏はその研究の中から、日本軍の性的奴隷として占領地や日本国内の女性が招集され、筆舌に超え耐え難い被害を被ったとして、国がその罪を認め、速やかに対象者の補償に当たるべきだとの見解を展開し、運動を続けている。筆者は自ら軍の関与を裏づける「証拠文書」を発掘したことで知られている。すなわち、1938年3月4日に陸軍省副官通牒として出された「軍慰安所従業婦等募集に関する件」という文書の中で、陸軍省は選定した業者が日本内地で誘惑まがいの方法で慰安婦の募集を行っていることを知っていた。このまま続けば軍に対する国民の信頼が崩れるので、各派遣軍が徴収業務を統制し、業者の選定をもっとしっかりするように指示したという。又徴集の際、業者と地元の警察、憲兵との連携を密接にするように命じている。・・・この一例からもわかるように、戦時中に売春婦や慰安所が意図的に利用された例は日本以外の国でもあるかもしれないが、日本のように国軍が前面に出て管理し、統制した例はまれであり、極めて特殊でもあり、その犯罪性は免れない、というのが筆者の基本的な姿勢である。氏の調査が物語るように、日本軍は、その占領地で、多国籍、多民族にまたがる「慰安婦」を徴集していた。その中にはいわゆる「娼婦」以外にも、現地の一般女性も含まれていた。募集に応じた女性もいたのかもしれないが、不当な方法で半ば「暴力的に」慰安婦を強制された女性も多数存在していたらしい。それは、数十年の時間の経過のあと、勇気を持って立ち上がった元慰安婦達の証言からも明らかになりつつある。すべてが事実かどうかは断定できなくとも、各地で謝罪や補償を求める要求の声が上がり、事実を裏ずけるオランダ等の報告書や判決により、少しずつその実態が明らかになってきた。最近の国内の情勢では対立する意見が牽制しあっているが、国際的な論点から見れば、日本軍のやってきたことに対し「肯定的」あるいは「同情的」にみる見方は極めて少ないと思われる。国内にいると、自国の勢力図から判断しがちだが、「外から」日本を眺めてみればより客観的なものの見方ができるのではないだろうか。こと「慰安婦」問題に関する限り、外国人が日本軍の足跡を弁護する発言を聞いたことがない。広く世界の声を聴かないと又日本は過ちを犯すのではないか、という心配が高まりつつあるように感じているのは、決して少数ではないだろう。
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by tomcorder | 2013-08-21 10:41 | 日記