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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記10月1日(火)

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  「原発ホワイトアウト」 <原発はまた必ず爆発する>   若林冽    2013年9月11日刊


 一言で言って「面白かった」というのが正直な感想だ。しかしその言葉は不謹慎だ。それは、本書をあくまで「フィクション」として読んだ時の感想であるからだ。
本書は最近発刊された話題の書。著者は現役キャリア官僚と自らのタイトルに掲げている。「フィクション」というスタイルをとっているが、正に「告発本」でありメデイアの伝えるところによれば、現在当局では「犯人捜し」に躍起となっていることになっている。真相はどうなのか、いろいろな意味で興味津々であり、そのこと自体の話題性もある。本著の中にも、原子力規制庁勤務の現役官僚が「内部告発」を敢行する重要な登場人物として描かれているが、正に本書の作者と重なっている。ただ、作中人物は、守秘義務違反という「国家公務員法違反」の罪で国策逮捕となるのだが、本作品は形態上は「novel」であり、具体的に「守秘義務違反」にあたる 具体的秘密情報は文章表現されているようには思えない。従って、もし作者が特定され、「犯人捜し」に決着がついた時に、果たして「法的手段」で罪に問うことができるであろうか。告訴するとすれば一体どんな「罪」が適用されるというのか。・・・「すべてはフイクションですから」と言えばそれまでではないか。
具体的人物像も「想像」することはできるが、「犯罪」になるような記述はしていない。「悪者」として描かれているのはあくまでも「仮名」でありこれで「名誉棄損」を訴えるほどの具体性はない。あるとすれば実名表記された、過去の人物や、「被害者」的記述から人物特定できる数名の人物に限られるだろう。いづれにしても、今後本書の影響が官界、政界、マスコミでどのような展開をみせるかは、気になるところではある。
 本書は「novel」であり、内容をどう解釈するかは読者の自由である。ただ、私自身の印象は、「新聞の記事よりrealityがある」と感じてしまうほど迫力がある。テレビのニュース解説よりよっぽど「現実」を俯瞰できる説得力がある。今正に現実になろうとしている「再稼働」の姿や、エネルギー政策の近未来が、ドキュメンタリー番組を見ているかのように伝わってくる。
本著の読者はぜひとも、これからの現実に対し「各自のnovel」を創作する必要性があるのではないか。そうでなければ本書の価値も単に「amusemennt」の域に終わってしまうではないか。



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by tomcorder | 2013-10-01 14:05 | 日記