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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記2014年2月6日(木)

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  「虚構のアベノミクス」  野口悠紀雄著  2013年7月刊

著者野口悠紀雄氏はマスコミも登場することの多い経済学者。現在早稲田大学フアイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。
本書の添え書きに「株価は上がったが、給料は上がらない」と記されている通り、アベノミクスに明確に反対派の立場を貫いている学者のひとりである。第二次安倍内閣が誕生して1年以上が経過下したが、目玉になっている経済政策の今後に対しては賛否両論、激しい議論が飛び交っている昨今であるが、作者の姿勢は真っ向からこの政策に異議を唱えている。いわゆる「3本の矢」の戦略に対してもことごとく否定的な見解を展開している。まずインフレターゲットの2パーセントも過去のデータから達成は不可能とみとおしているし、円安が進んだとはいえ実体経済は大きく動いていないと主張している。事実円安とともに輸出で収益を上げているのは一部の大企業であり、全体として円安は輸出量を増やす要因になっていないという。確かに、貿易収支は赤字を継続しており、今のところ円安は増収に効果的とは言いがたい。また、円安による効果がやがて企業の設備投資のに回ると言った予測もまだ当たっておらず、設備投資は減り続けている。そして最も重要な「賃金の上昇」であるが、昨年度結果から見る限り、賃金が上がったのはいわゆる大企業それも、自動車産業等一部の限られた業種であり。いっこうに賃金が上がらないのが全体の傾向だ。しかも、その好調と言われる自動車業界さえ、輸出は減少傾向にあり、先行きはけっして楽観視できないという。いかに円安が続いても、もはや日本は貿易収支黒字国には復帰できないという。ただし経常収支においてはまだ当分黒字は続くらしい。
著者の考えによると一番重要な点は3本目の「成長戦略」であり、実体経済を牽引する「強い産業」が育たない限り日本経済は上向くことはなく、そのための手立てはまだ具体性に欠けているという。いかに新時代に呼応した成長戦略を構築できるかが最大の問題点だと指摘している。

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by tomcorder | 2014-02-06 20:59 | 日記