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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記2月8日(土)

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  「経済政策の射程と限界」            神保哲生・宮台真司 2013年6月刊
  <高橋洋二 野口悠紀雄 北野一 浜矩子 小幡績 萱野稔人>

ジャーナリスト神保哲生と社会学者宮台真司の二人が、進行役としての役割をはたし、安倍政権の経済政策を対象とした、対談記録をそれぞれの学者とのパート別にまとめたもの。終わりに進行役の二人の総論とまとめで締めくくられている。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」については、専門家の評価は両極端に分かれている。インフレターゲットと金融緩和によって、日本経済は好転するという論者がいる一方で、それはまやかしであり、うわべだけのインフレは賃金上昇や雇用には結びつかず、下手をすれば大混乱に陥る危険性を持っていると、激しくと警笛をならす学者もいる。
 両者の極論の間で、一般市民は判断を下すのは難しい。最近までの約1年間で、確かに「円安」と「株高」は進んだ。少なくとも、数字の上ではそう見える。しかし、「第三の矢」と称される「成長戦略」はその実態が今ひとつ具体化していないし、円安が進んだ割には、全体としては輸出は伸びておらず、恩恵に預かれる企業、労働者は一部の業界に限られているようである。2014年が始まった今、果たしてアベノミクスは初期の見通しに向かって前進することができるのか、はたまた、今後の動向によってはその実態が露呈され、惨めな結末を迎えることになるのか、この1年はその成否が見えてくる期間となる見通しが高い。春闘が始まりだした昨今、果たして労働者の賃金は相対的にレベルアップを獲得できるだろうか。よく言われるように、消費税の増額というハンディキャップを乗り越えて、さらに実質賃金の向上を実現できるだろうか。重ねて、弱い立場にある「非正規労働者」の境遇改善は前進することができるだろうか。企業の増益、体力増強が前提という政府案に基づき、「法人税の減税」も行われるようであるが、結果的に賃金に波及効果があらわれ、景気が活性化するという目標までたどり着くことはできるだろうか。もし、このプランが破綻し、計画が失速した場合、国民の「失望」はかりしれない。もしそのような事態が生じた場合、政府はいったい「どんな戦術」を用意しているのだろうか。「非常時」が現実化するのは避けたいし、「軍事的戦略」などあってはならない、とだれでも思うが、無用の心配であってほしい。
 
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by tomcorder | 2014-02-08 16:07 | 日記