ブログトップ

渡霧吐夢世界

tomcorder.exblog.jp

薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記2月15日(土)

a0292328_20175911.jpg

  「死と滅亡のパンセ」   辺見庸  2012年4月刊

作者辺見庸は1944年生まれの作家。宮城県石巻市生まれで、共同通信社の北京特派員、ハノイ支局長などを経て、96年退社。文筆活動を始めた。本著のタイトルに掲げられた「パンセ」とは「思想」に近い意味か。パスカルの著した作品がその原型とされているようだ。
作者の故郷を襲った3.11の大災害は、日本を大きく変えた。しかし、このような自然災害や原発事故の起きることを、作者は事前に予見していた。それは具体的な根拠を持って、というより、研ぎ澄まされた「感性」から時代の文脈を読み解く中で、「啓示」のごとく浮かびあがってきたものと、憶測する。かれは大地震も原発事故も経済の混迷も予見していた。そして今、現在は既に「戦時」であると認識し、市民がそれと自覚する前に着々と戦争の道に進んでいると述べている。確かに昨今の政府の動き、総理大臣や閣僚の言動は筆者の言動を裏付けるに十分だ。しかも、日常的現象のなかに、一歩一歩真綿で締め付けるように、重苦しい重圧が国中に漂い始めているという。賢明なる諸氏はその諸断面を、身の回りから写しだせるかもしれない。各自の触覚を少し伸ばして感度を上げれば、それほど難しくもないはずだ。この動きは単に政治の舞台のみならず、日々の出来事、人間関係の中に表れはじめている、と筆者は説く。その警告をどれほど適格にとらえ、各自の問題意識とすることができるだろうか。
[PR]
by tomcorder | 2014-02-15 20:18 | 日記