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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記11月12日(水)

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  「市場と権力」         佐々木実 
                                      2013年4月刊
 和歌山県立桐蔭高出身、学習塾の優等生、社会科学研究会に所属し、トップクラスの成績を維持し、一ツ橋大学経済学部で近代経済学を目指す。・・・竹中平蔵少年の若かりし頃のプロフイールである。本書は竹中平蔵氏のこれまでの足取りを中心に、氏の辿ってきた経歴や言動、日本の政界・経済界に対する影響力を、様々な資料から構成した、言うならば「竹中平蔵物語」である。しかし、単なる「伝記」でも「自叙伝」でもない。政治の流れ、経済学界の流れの中で、竹中氏がどの様に考え、どのように振舞ってきたかを、きめ細かく分析し、組み立て、その人物像と国政のなかで果たした役割に迫ろうとするものである。
筆者佐々木実氏は1966年生まれの元日本経済新聞の記者を経て現在フリーランスジャーナリストである。
高校時代に始まり、大学時代、銀行就職時、研究所勤務、海外勤務時、官庁執行時、研究者時代、閣僚時代、小泉政権以降・・・と目まぐるしく活動を続けてきた竹中平蔵氏の、残した足跡をたどって行くと、大きな統一的な「人物像」が浮かび上がってくる。氏の周りには実に多彩な人間関係が存在してきた。学界、政界、経済界と守備範囲が広い。そのほとんどの人間関係において「利用し利用される」関係が成り立っている。悪く言えばその関係は常に「Give and Take」の関係だ。あるいは某経済界の重臣のいう言葉によれば、「竹中の背後には必ず金の匂いがする」のだそうだ。確かに竹中氏のこれまでの言動の数々の中にこれを裏づけるものが各所に見られるかも知れない。
小泉政権時の働きぶりについては見る人により賛否両論であろう。しかし、彼の残した業績は決してプラスの方向ばかりではなく。今現在も続く厳しい雇用の状況や派遣労働者の非人権的な環境の出現に大きな火種を巻いたことは、多くの一致した見解と言っていいいだろう。当然多くの非難にさらされたし、現在もその罪深さを追及する声が跡を絶たない。民主党政権の誕生と共に、前線から「退場」かと思われたが「運の強さ」か第二次安倍政権の誕生と共に、再び「市場原理主義」的手法の政策が進められ、いわゆる「格差社会」が時代に逆行する方向で進みつつある。
「宇沢弘文」氏の言葉を待つまでもなく「経済学は何のためにあるのか」と問わざるを得ない。竹中氏が真に「経済学者」であるならば、「竹中改革」によって日本国民は「どれだけ豊かになり、個々の幸福感が増したか」との問いに明確に答える義務があるだろう。単に統計における数字の問題ではなく。国民一人ひとりの顔と向き合い答えるべきであろう。
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by tomcorder | 2014-11-12 17:54 | 日記