ブログトップ

渡霧吐夢世界

tomcorder.exblog.jp

薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記12月10日(水)

a0292328_012861.jpg

  日本はなぜ『基地』と『原発』を止められないのか 
                                                矢部宏治著 2014年10月刊

著者矢部宏治氏は1960年生まれの編集者。慶応大学文学部卒業後博報堂勤務を経て、1987年より書籍情報社代表者として、書籍編集に携わってきた。特に創元社発行の「戦後再発見双書」という大ヒット策を世に送り出し、話題をまいた制作スタッフの中心人物である。この手の書籍としては「異例」の売れ方に「味をしめて」か今度は本人自らが執筆者となり、「基地と原発」という観点から日本の戦後史の実像を描き出そうとした「注目の書」である。
 3.11以降多くの日本人は「大きな謎」を解く旅をし始めたという。
何故巨大事故が日本で起こってしまったのか。
何故事故の責任者は誰も責任を問われず、被害者は正当な保障を受けられないのか
何故専門家や大手マスコミはこれまで「原発は絶対安全だ」と言い続けてきたのか
何故事故の結果ドイツやイタリアでは原発廃止が決まったのに、当事国である日本では再稼働が始まろうとしているのか
何故明らかな健康被害が起きているのに、政府や一部の医療関係者はそれを無視し 続けるのか
これらの謎は元をたどって行くと、沖縄を中心とする「基地問題」とも共通する因子を持っていることにたどり着く。つまり、沖縄の謎であり、福島の謎であり、安保ムラの謎であり、原子力ムラのなぞでもあるのだ。そしてこれらの問題の背後にあるのは、戦後の70年にわたる日本の歩みを裏で糸を引いてきた部分でもある。戦争の終結期から現在に至るまでの米軍およびアメリカ首脳部と日本の諸政治勢力との関連性やもくろみ,戦後の昭和後期の天皇の振るまいと政治的立ち位置、平成に入ってからの日本の政治の勢力図等を、具体的史実に基づき分析し、作者は鋭くいくつかの「結論」を断定するに至った。それらはある物は驚きの事実であり、ある物は冷静な、推論の結果でもある。
 米国との関係を考えるとき、我々は「日米安保協約」はもとより、「日米地位協定」の存在にどうしても突きあたらざるを得ない。この条約の規定する条項により今なお我が国は「属国」的扱いに甘んじていると言わざるを得ない。沖縄や基地を抱える地域ではこれまで幾多の「屈辱的被害」を堪え忍んできた。数日前も沖縄で米兵によるひき逃げ事件が報道されたばかりだが、未だに「治外法権的扱い」が解消されていない。オスプレイ配備や航空管制の植民地的運用など、信じられないような取り決めが今も続いている。
 そしてこれは原発の運用にも、似たことが適用されている。「日米原子力協定」なる物が歴然として存在し、日本の意思だけでは原子力の今後をすべて決定するのが難しい足かせとなっている。「ジャパンハンドラーズ」なる言葉も耳にすることがあるが、現に米国は深く日本の政治的選択に関わってきたし、今も「日米合同委員会」なる組織を通して、「日本の振る舞い」をリモコン操作している。
戦後70年という月日を持ってしても、未だに終戦後のしがらみから抜け出せずにいる、我が国の政治的発育不良状態を健全な状態にどうしても取り戻さねばならない。
そのためには一人一人がどうするかを主体的に考え、勇気をもって行動することが必要不可欠ではないか。
[PR]
by tomcorder | 2014-12-11 00:12 | 日記