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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記12月24日(水)

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  「福島原発事故・県民健康管理調査の闇」  日野行介著
                                   2013年9月刊
 ・・・未曾有の原発事故により放出された大量の放射能。住民の健康への影響を調べる福島県の調査の
裏で、専門家、行政担当者たちは一体何をしていたのか。秘密裏に会議を繰り返し、事前に調査結果に対
する評価をすり合わせ、議事録までも改竄-----。一人の記者が、<闇>に立ち向かい、調査報道でその
実態を明らかにする。・・・・<表紙帯書より。>
 2014年12月現在、福島第一原発事故より3年9ヶ月が経過した。放射性物質による内部被曝による
癌や白血病などの病気との因果関係を立証するのは、広島・長崎、ビキニ事件の被爆被害の例からも大変難
しい。しかし、それは「ない」というのとは全く違う。チエルノブイリ原発事故のあと10年を経過した時、
「甲状腺癌」のみ因果関係があることが認められた。今までに6000人の子どもが甲状腺癌にかかったと
報告されている。福島では15万人がふるさとを離れ避難を余儀なくされた。そんな中、筆者は2011年
5月より取材を開始した。発端となったのは、第五福竜丸事件で設立された「放医研」が始めようとした「
線量ネット調査」の資料公開が、はじめ1週間延期になり、次に1ヶ月延ばされ、「福島健康調査検討委員会
準備会」で「袋だたき」にあったあげく、公開中止になってしまったことであった。そして、福島権が主導
する形で、県民健康管理調査へと進んでいったのである。「何か圧力が?」筆者はそう感じざるをえなかった。
「放医研」の案が葬られたのは「不安を煽り、時期尚早」という県の言い分からだった。しかし、専門家
である岡山大学津田敏樹教授の言葉によれば「記憶が鮮明なうちに早く調査する必要があり、不安をあおるな
どで有効な調査をしないようでは、むしろ不満や不信を高める」という批判の声を上げている。
 「県民健康管理調査」とは主導権が県にあり、福島県立医大副学長の山下俊一教授が座長を務めて始まった。
調査の概要として①基本著調査200万人全県民対象と②詳細調査、一八歳以下の青少年36万人から構成さ
れていた。検討委員会が積み重なれてゆくうちに、筆者は「裏会議」の存在に気がついた。つまり表にでる「
本会議」を開催する前に「裏の会議」であらかじめ下書きを作っていたというのだ。「何のために」それこそ
問題である。筆者はそれを「秘密会議」と名付けた。表向きは日程もなく、公に知らされていないのだから正
に「秘密の」会議だったのだ。そしてその非公開の場で、重要な方針が決められ、民主的とはいえない手法で
健康管理調査が進められていったのだ。
「晩発性の被爆の影響」恐れているのはそのことだった。浪江町では県の働きかけを受け入れる以前に、「健康
手帳」を町民2万1千人に配布することを計画した。町長は「記録がなければ、医療につながらない」「町が責
任を持つしかない」と言っている。そんな中、2012年9月、第八回検討委員会の時、初めての甲状腺癌の患
者が確認された。以後患者の数は増え続け今では数十人の癌患者が確認されている。これが福島第一原発の事故
によるものかどうか、いまだに認めようとしない。しかしもう4年が経過しようとしているのだから、チエルノ
ブイリの事例と比較しても、被爆による発病かどうかを語れる段階に近づきつつある。もはや「スクーリング効
果」だけでは納得させられない状況になりつつあるのではないだろうか。
 安西育郎立命館大学教授は述べている「秘密会議は討論の封じ込めにつながる。県がいくら安全といっても、
県民は信じられず、調査の意味もなくなりかねない。」と。福島県医師会星北斗理事長も発言している「隠したい
という県の医師を感じた」と。会議進行のシナリオに当たる「進行表」の存在も指摘された。このシナリオに沿
って会議が進行された跡があり、「SPEEDI」の資料を国から送られたにも拘わらず県はデータを削除した。
2013年8月現在、「詳細調査」の基準も決まっていない。県や県議会もこれ以上追求しようとする姿勢がない。
と筆者は批判的だ。子を持つ母親の声がどうかが問題だ。とも語っている。
 今現在も甲状腺癌にかかる患者の数が増えているが、この検査に関連していくつかの問題点も指摘されている。
検査方法、判断についても疑問が持たれるし、情報公開も十分行われているとは言いがたい。患者や家族が不安や
不信を感じるようでは、趣旨がいかされているとは言えない。「検査項目」についても、疑問が残る。
はじめは4項目の検査項目で予定されていたのだが、「検査の効率化」のためか、「甲状腺の内部変化」と「血流の
状態」の2項目は削除されてしまった。会議の進行や公平性の観点からもいくつかの問題点があったようだし、メ
デイアに対しも平等性に欠けているとの批判もある。
広島・長崎そして第五福竜丸事件で等で内部被曝による被害の過小評価が問題にされてきたが、こと福島原発事故
に対しても、同じような問題が指摘されている。被爆をめぐる議論の共通性、被爆の影響を専門家はどう考えてい
るいのであろうか。
2013年8月現在一八歳以下17万5499人中、甲状腺癌の手術18人、癌の疑い25人。合計43人という
データーが報告された。今現在はさらにその数が増えつつある。この先をどう考えて行動すべきなのか。もう「待
ちの姿勢」では対処できない状況に入っているのではないか。
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by tomcorder | 2014-12-24 21:23 | 日記