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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記5月31日(日)

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  「国家の暴走」       古賀茂明 2011.9月刊

 全国に名前の知れ渡った元経産省官僚の古賀茂明氏の昨年秋に発売された注目の書。最近の話題では、「ニュースステーション」出演での「Iam not Abe 」
発言や番組への政府からの圧力あるなしに関しての暴露発言、古館一郎キャスターとの激論対決等々、テレビ以外のメディアに大いに「露出」を繰り返してきた人物である。その姿勢については賛否両論あるようではあるが、本著は氏の姿勢、主張を真っ向からぶつけた入魂の一冊になっている。
 タイトルが率直に示している通り、安倍政権への対決、挑戦の書であり、現政府の進む方向に対し根本的に否定的な見解を示し、我が国の進む方向性に警鐘を鳴らしている。確かに著者の言う通り、安倍政権の辿ってきた道、現在の状態を検証すると、かつての自民党政権とは大分在り様が変わってきている。
特に安全保障面での暴走が突出しており、集団的自衛権の閣内容認に始まり、果ては徴兵制の可能性や核開発までも懸念されるような、極めて危険性制の高い匂いを漂わせており、今まで超えられなかった高いハードルを一挙に超えようとしている最中ともみることができる。言葉では「平和のため」といいつつも、その裏で世論操作に迷走し、メデイアを動かし庶民をごまかし爆走せんとする息遣いを生々しく感ずることができる。
 経済的に割に合わないといわれている徴兵制を合法化するための、国防軍規定や軍法会議の復活により、若年層の軍人不足を補うために、憲法上の要請から兵員を要請できるようになる可能性さえ先には見えている。
 秘密保護法や日本版NSCがセットで効力を見せるようになり、4人の閣僚の判断で国民の生命が危機にさらされることが可能になる。たとえその事態に至っても秘密保護法で閉鎖的になっており、説明責任は果たされない。
 今安倍政権は正に「アメリカと一緒になって闘う日本に変身」する意欲に満々であるが、この変身にメリットはないと氏は言い切っている。氏の言葉によれば安倍晋三は経済に見合った軍事大国たる「強大国」に仲間入りすることを心から願っており、日米共通の価値観で安全保障を進めようとしているが、果たしてそれが真に、日本を守るために必要だろうか、疑問であり実益がないと思われる。
 中国の脅威を暗にほのめかし、持論を推し進めようとしているが、米国の本音は中国の刺激を増長するような安倍の暴走には懸念を示している。また安倍政権はその根拠として日米安保の双務性を重視しているが、現実問題として史上最強の軍事国家米国に「戦争を仕掛ける国」などあるだろうか。現実は日本が米国に利用されるだけだろう。米国は利益があるから安保を継続しているに過ぎない。これまでも我が国は米国にとって多くの基地を提供する「防波堤」となってきた。莫大な土地と資金を惜しみなく捧げてきたのだ。
 又、現在の日本の雇用状態が続けばいわゆる「経済的徴兵制」も考えられると語っている。弱い者に負担が押し付けられる社会的システムは原発のそれと同値である。「生活的恩典を与え徴兵制を実行する」というのはあり得るパターンだ。アベノミクスでいうところの「第3の矢」も中身がないと容赦なく批判する。株価対策での経済活性化は海外の投資家が利するだけであるという。
派遣法の改定(改正ではない)にみる新し雇用の在り方についても、政府は規制基準の改革により「よりよい転職」が進むと叫んでいるが、結局は経営者にとって都合が良くなるだけで、「首切りしやすい」状態を産むだけだと遠慮なく切り捨てている。確かに実質賃金下がっているのだから、購買力は上がるわけもなく、「待っていれば給料が上がる」というのはウソといわれても仕方あるまい。円安も逆効果であり、輸出企業だけがメリットを得るものの、長続きはしないだろうと見積もる。
 テレビ番組降板で話題を蒔いた「政権とメディア」に関しても、安倍政権は本人までも関与し、PRして稼ぐという。プレゼンに力を注ぎ、マスコミトップに圧力をかけているという。なるほど安倍総理は新聞界テレビ界の幹部クラスと頻繁に会食会を持っている事実は、歴代政権と比較しても度を越しており、他国の政権で類例も稀である。
 本著が出版されたのは昨年秋であるから、それから間もなくテレビ番組出演を降板させられた事実は、本著と全く無関係とは言い難いだろう。ここ数日の国会での審議の実態を見ても、古賀氏の説く「国家・政権の暴走」が当を得ているかどうかを容易に判断できるのではないだろうか。

            
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by tomcorder | 2015-05-31 16:57 | 日記