ブログトップ

渡霧吐夢世界

tomcorder.exblog.jp

薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

<   2013年 09月 ( 1 )   > この月の画像一覧

a0292328_2125213.jpg

  「原子力ムラの陰謀」  今西憲之+週刊朝日取材班 2013年8月刊

 そのものずばり。原子力発電を推進する関連諸団体・組織の複合的な暗黒的支配の諸断面を鋭く描き出した。巨大な目に見えぬ闇の脅威の中、今西憲之氏はじめ、週刊朝日取材陣の渾身の力を終結した注目の書。3.11以降とかく「原子力ムラ」の在り方が問題視されるようにはなってきた事実も一方ではあるが、本書の扱う内容は主に、1995年12月8日に発生した高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故に関わる諸現象、諸事件、の解明にある。「夢の原子炉」との国策として、研究開発を進められてきた「もんじゅ」は、幾多の事故、失態を繰り返し、今もって健全運転への見込みはたっていない。特にナトリウム漏れという極めて重篤なミスを起こして以来、すっかりその実用性に疑問を持たれるようになり、巨大な国費を食いつぶす、どうしょうもない「お荷物」になりつつある。事故後約1か月、国策会社「動燃」(現日本原子力開発機構・JAEA)の総務部次長だった西村成生氏が変死体となって発見された。西村氏の残した膨大な資料を分析した結果、様々な驚くべき事実や実態が浮かびあがってきた、という。たとえば、ウラン採掘現場「人形峠」で行われた、驚くべき「住民思想調査」の足跡とか、動燃の裏工作部隊が行っていたと見られる、保守系有力議員への組織ぐるみ選挙戦略、集票行動、科学技術庁が行った露骨なNHKへの「やらせ抗議」とか、もんじゅ事故前後の「安全神話」の作為的な流布の経緯など、多種多方向に「国策」遂行のために、驚くべき諸活動を続けてきたと主張している。そして、のちに事実が解明されたように、度重なる偽装、隠蔽という失態の数々を重ねたのである。そのような、透明性の欠損した、限りなく薄暗いしがらみの中で、西村氏の死そのものさえどうであったか、疑問視する人々も存在するというのである。
  原発推進に反対の行動をとる言論陣の中では、最近、「原子力ムラ」というネーミングさえ生ぬるい、と主張する声もでてきた。つまり「ムラ」の住民などという「のどか」な存在ではなく、はっきりと「犯罪行動推進集団」と断言しているのだ。本著の推論が正しければ、確かに過去の集団的隠蔽行動の多くは、紛れもなく犯罪の部類に入る事象の連続だったということになる。
[PR]
by tomcorder | 2013-09-23 21:24 | 日記