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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

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「すばらしきアメリカ帝国」 ノームチョムスキー
                     2008年5月刊

ノームチョムスキーは1928年生まれのマサチューセッツ工科大学教授。言語学者として、「生成文法理論」を打ち立てて一時代を築いた。その後詳細な事実を鋭く分析し、米国の政策に厳しい批判の目を向けてきている。
 アメリカという国の実態を大胆に直撃し、必ずしもメデイアが取り上げない、いわばアメリカの「恥部」を容赦なく糾弾」している。アメリカという国家のシステムや指導者の行ってきた政治的選択の理不尽さを痛烈な表現で語っている。
アメリカは国内的に国民を恐怖に落とす手法で激しいプロパガンダを進めてきた。強力な軍事力を盾に富みと権力を狭い対象へ移すことで、人々を恐怖に落とし、「恐ろしい敵」を作ることにより、世論を誘導し、これまで歴史に残る「破壊的戦略、惨事」を繰り返してきた。キューバ危機、ベトナム戦争、3.11とイラク戦争・・・というように、強大化した軍事力を武器に、微力な敵を襲うように、歴代の指導者は舵を取って来た。と作者はアメリカの歩みとその特質を分析している。元々アメリカという国の成り立ちと歩みを眺めれば、特権階級がその他の弱者を陥れ、その利権を貪ってきたのであり、今や諸外国に対しても、力の論理で強引な世界戦略を進めてきた。そんなアメリカでも、メデイア統制の圧力はあるものの、それに負けない「言論の自由」があるところが日本とは少し違う点で在るかもしれない。たとえ政府といえども抑えきれない言論陣がアメリカには力強く存在するという。正にメデイアとしての責務を果たすべく活動するグループが、声を上げ続けられる、という点は日本ではあまり事例がない。最近の報道を見てもいかにも「強い力」に翻弄されるマスコミの正体が露見しているのが日本の実態のようだ。日本にも作者チョムスキーのような存在が強く要望されているのではないだろうか
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by tomcorder | 2013-10-30 21:45 | 日記

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 アヒンサー「放射線の衝撃」  <低放量射線の人間への影響>
                  ( 被爆者医療の手引き)   
                                                  ドネルW.ボールドマン
                                                  肥田俊太郎 訳

本書はジェイM.ゴールド、ベンジャミンA.ゴルドマン共著「死にいたる虚構」とともに、原爆症認定集団訴訟において大阪高等裁判所が「低線量放射線内部被曝」を認めた根拠とした意義ある科学文献である。広島長崎の原爆により被曝した人々のうち、投下による直接被爆をしていない「内部被曝」の影響はアメリカからも日本政府からも認められなかった。しかし、この裁判をきっかけとして、以後、連続国側の敗訴となり、「低線量放射能被曝による内部被曝」が事実として認められるようになった。本書は根拠ある論理でひろく内部被曝の実態をあかした記録すべき書とも言える。
 「長崎ブラブラ病」等の症状は被爆者の多くが訴えた共通的現象であったが、客観的証拠がないとして、戦後しばらくの間認められることがなかった。しかし本著の作者等は臨床的症候群を多数分析し、「分子生物学的な研究の成果」から低線量放射能でも無視できないことをつきとめた。そして治療の実態として、①放射線被害に対し根本的治療法はないこと。②放射能は有効に除去できないこと③症状を最小限度に食い止めることのみが対応策となること、等を結論づけた。
 本書では、現代の核エネルギーに対する総括的傾向、に対しても強く勧告をしており、今後の世界が放射能の脅威に対しどのように対峙すべきか、厳しい提言をしている。
 本書の結びとして、Lowell Thomas(1971)の言葉が挙げられている。」
「  遠い月から見れば、地球は驚くべきもの、
   息を殺して、それは生きている。

   地球は、大きく、複雑で、たくさんの部分が
   互いに関係を知らないで、一心に働いている。
   それはまるで・・・・・・・・・一個の細胞のようだ 」
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by tomcorder | 2013-10-29 22:31 | 日記
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  「原発ホワイトアウト」 <原発はまた必ず爆発する>   若林冽    2013年9月11日刊


 一言で言って「面白かった」というのが正直な感想だ。しかしその言葉は不謹慎だ。それは、本書をあくまで「フィクション」として読んだ時の感想であるからだ。
本書は最近発刊された話題の書。著者は現役キャリア官僚と自らのタイトルに掲げている。「フィクション」というスタイルをとっているが、正に「告発本」でありメデイアの伝えるところによれば、現在当局では「犯人捜し」に躍起となっていることになっている。真相はどうなのか、いろいろな意味で興味津々であり、そのこと自体の話題性もある。本著の中にも、原子力規制庁勤務の現役官僚が「内部告発」を敢行する重要な登場人物として描かれているが、正に本書の作者と重なっている。ただ、作中人物は、守秘義務違反という「国家公務員法違反」の罪で国策逮捕となるのだが、本作品は形態上は「novel」であり、具体的に「守秘義務違反」にあたる 具体的秘密情報は文章表現されているようには思えない。従って、もし作者が特定され、「犯人捜し」に決着がついた時に、果たして「法的手段」で罪に問うことができるであろうか。告訴するとすれば一体どんな「罪」が適用されるというのか。・・・「すべてはフイクションですから」と言えばそれまでではないか。
具体的人物像も「想像」することはできるが、「犯罪」になるような記述はしていない。「悪者」として描かれているのはあくまでも「仮名」でありこれで「名誉棄損」を訴えるほどの具体性はない。あるとすれば実名表記された、過去の人物や、「被害者」的記述から人物特定できる数名の人物に限られるだろう。いづれにしても、今後本書の影響が官界、政界、マスコミでどのような展開をみせるかは、気になるところではある。
 本書は「novel」であり、内容をどう解釈するかは読者の自由である。ただ、私自身の印象は、「新聞の記事よりrealityがある」と感じてしまうほど迫力がある。テレビのニュース解説よりよっぽど「現実」を俯瞰できる説得力がある。今正に現実になろうとしている「再稼働」の姿や、エネルギー政策の近未来が、ドキュメンタリー番組を見ているかのように伝わってくる。
本著の読者はぜひとも、これからの現実に対し「各自のnovel」を創作する必要性があるのではないか。そうでなければ本書の価値も単に「amusemennt」の域に終わってしまうではないか。



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by tomcorder | 2013-10-01 14:05 | 日記