豊下楢彦著
日米対戦終了後、昭和天皇とマッカーサーは通訳を介して11回会見している。しかし、その中身については長い間国民の前には開示されていなかった。したがって、昭和天皇が戦争の終結から戦後の占領下でどのような発言や態度を取ってきたかは想像の域をでることはなかった。そして少なくない年月が経過し、徐々に資料が出回るようになってきて、少し昭和天皇の「実像」が見えてきた。その一つ一つを冷静に分析した...筆者の解説を読むと驚くべき事実や推論に遭遇する。氏の説に従えば、戦後の「象徴天皇」は驚くほど「active」に行動していた一面がうかがえる。平成の世になり、全ては「過去形」になったとは言え、終戦時の関わり、講和条約や安保との関連、沖縄の扱い等々日本国憲法の条文を疑いたくなるほどの「天皇外交」が存在したらしい。「靖国問題」に対する様々な論点もだいぶ仕組みが複雑になり、何が本来的なことなのかも混沌としてくる。保守的と言われている政治家でも整然と片付けることは出来ないだろう。単純な「皇国史観」だけでは過去と未来に整合性を持たせることはできない。
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by tomcorder
| 2012-10-20 18:25
| 日記