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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま



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昭和天皇・マッカーサー会見2008年7月
                                     豊下楢彦著
日米対戦終了後、昭和天皇とマッカーサーは通訳を介して11回会見している。しかし、その中身については長い間国民の前には開示されていなかった。したがって、昭和天皇が戦争の終結から戦後の占領下でどのような発言や態度を取ってきたかは想像の域をでることはなかった。そして少なくない年月が経過し、徐々に資料が出回るようになってきて、少し昭和天皇の「実像」が見えてきた。その一つ一つを冷静に分析した...筆者の解説を読むと驚くべき事実や推論に遭遇する。氏の説に従えば、戦後の「象徴天皇」は驚くほど「active」に行動していた一面がうかがえる。平成の世になり、全ては「過去形」になったとは言え、終戦時の関わり、講和条約や安保との関連、沖縄の扱い等々日本国憲法の条文を疑いたくなるほどの「天皇外交」が存在したらしい。「靖国問題」に対する様々な論点もだいぶ仕組みが複雑になり、何が本来的なことなのかも混沌としてくる。保守的と言われている政治家でも整然と片付けることは出来ないだろう。単純な「皇国史観」だけでは過去と未来に整合性を持たせることはできない。
# by tomcorder | 2012-10-20 18:25 | 日記
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「原爆を投下するまで日本を降伏させるな」2011年6月
                       鳥居民著
非常にセンセーショナルなタイトルである。発言したと思われるのは時の最高権力者・アメリカ大統領ハリー・トルーマンと当時の国務長官ジェームズ・バーンズ。アメリカが原爆投下に踏み切った理由には、諸説あってよく言われるのは、なかなか降伏しない日本に決断を迫るため、とか本土決戦のためにアメリカ軍の兵士の犠牲を減らすためだったとか、一般的には解説されていたかもしれないが、現実はちょっと違っていたようだ。自国の犠牲を少なくしたいのはどこの国の立場も同じであろうが、巨大な兵器を手にしてしまった権力者には、どうしても人には言えない理由があったようだ。
ソ連との駆け引きや日本側の意向を吟味する中で、どう繕っても見え隠れする「本音」が「裏の意思」として貫かれているのだ。何事にも優先する意思、すなわち世界で始めての「原爆」の存在を人類に認識させるということだ。
広島の原爆が投下されたあとマッカーサーは言った。「あらゆる戦争は終わったのだ。・・・・・・これからは戦争は学者や科学者の手にゆだねられるということだ。もう戦争はおこらないだろう。」しかし、マッカーサーの発言は真実ではなかったことがすぐに確かめられた。それどころか、いまだに戦争は終わっていない。アメリカは今でも戦争を続けている。では、何故日本は世界でゆい一の被爆国にならなければいけなかったのか。我々は忘れるわけにはゆかない。
# by tomcorder | 2012-10-19 18:27 | 日記
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「日米同盟の正体」孫崎享著2009年3月刊
同じく孫崎享シリーズの話題の著。今から3年前の時点での、日米の外交・軍事安全保障に関わる諸事象の解説と提言集。外務官僚経験者としての作者ならではの、具体的かつ真相に迫る解説は迫力があり、多くの合理性を感じさせる論理で構成されている。戦後から続く日米の同盟関係のなかで、アメリカがどのような姿勢で日本に接し、またそれに対し日本政府がどのような選択をしたかを知ることは、現代及びこれからの日本に生きる人間にとって、見逃すことのできない重要な...関心事であるはずだ。しかし、我々は知っているようで知らないことが意外と多い。例えば、北朝鮮をめぐる日米の対応の仕方には、意外ともいえるほどタイミングや考え方の違いがあった。端的に言えば、頻繁に変わるアメリカの方針に翻弄され、惨めにも独自の方針を貫徹できない日本政府の実態があった。現在の在日米軍の散在の意味にしても、日米では考え方がぜんぜんちがうのだ。
世界の客観的情勢を分析し、何でも米国追従ではなく、広く世界を見て日本の針路を選択すべきであると作者は主張している。
# by tomcorder | 2012-10-07 10:13 | 日記
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日本の国境問題孫崎享著 2011年5月刊
竹島、尖閣、北方領土、と島国日本の国境問題は多発している。積年の問題でもあり近々の問題でもある。また、重要な政治課題であり、こじれ始めれば「ナショナリズム」の対決になることは必定であり、紛争、戦争の要因となることも多かった。わが国の避けられない「難題」に対し氏は自らの経験から得た知識と、豊富なデータをもとに丁寧に論を進めている。その根底にあるのは、徹底した平和主義と冷静な分析による情勢判断である。感情に走ればどこの国においても「ナショナリズム」が暴走する。それを政治的に利用する者が現れたとき悲劇は生まれる。過去の歴史が物語る通りである。暴力手段に訴えることなく、日本はどんな方法で領土問題と取り組むべきか、氏は搾り出すように可能なシュミレーションを提起している。例えば、威勢のいい保守派の意見に踊らされ、力に訴える選択をすれば今の日本に勝算はないと言う。最早武力に訴える時代ではない。経済力でも今後の日本に嘗ての勢いはない。だとすれば残された道はいくつもないのだ。現政治家の中には孫崎氏の意見と相容れない勢力がはびこっている。原発だけでない。日本は多くの火種を抱えている。
国民一人ひとりの冷静な判断が必要な時と言わざるをえない。
# by tomcorder | 2012-10-04 09:34 | 日記
<日本の黒い霧>
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松本清張作。1973年4月刊。
老眼鏡に頼り、旧漢字に苦闘しつつやっと読破。・・・終戦後の日本の世相は激しく動いた。その背後にあった占領軍は表に裏に強大な権力を有していた。「神をも超えるとして。そのころ日本国内では、占領下の時代背景の中で各種の「怪事件」が続出していた。後の時代と比較してもその「連発性」は異常だった。そしてそれらの事件のほとんどは「未解決」にまま幕を閉じてしまった。
正に「黒い霧」と称される所以である。これらの事件を大...別するとすると、①鉄道関連事件(当時連合軍、(米軍)はダイヤ編成にも特権を有していた。鉄道労組は最強の労組だった)数が一番多い事件②航空機事故(木星号事件。当時航空管制業務は完全に米軍管理下)③情報関連事件(各種スパイ関連事件)④銀行筋・貴金属流出関連事件⑤特定不明瞭毒物強盗殺人事件(軍事筋の可能性も)・・・そして大転機となる「朝鮮戦争」。all mighty も更迭され、やがて占領時代は新しい展開へと歩みだす。しかし、ここに描かれた諸事件の内容を吟味し、共通の要素をつなげ合わせれば、現在もなお日本は「占領下」にあるという見方も決して「的はずれ」とは言えまい。原発問題・沖縄基地移転・TPP・オスプレイ・イラク戦争への追従・手放せないアメリカ国債・・・数限りない隷属の姿が今も続く。「黒い霧」は今もたちこめている
# by tomcorder | 2012-10-02 11:07 | 日記

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