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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記1月15日(火)

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 「市民科学者として生きる」   高木仁三郎  1999年9月刊
 大腸がんのため入院、手術、闘病の最中で本書を執筆した。61歳の誕生日を過ぎてまもなくだったという。自分の生命が長くないことを自覚し、高熱や下痢にに堪えながら、渾身の力で原稿を書き続けた。勿論ベッドの上で。本書は作者の「夢と希望」を残された世代へ託した作品である。筆者自身が語っているように、希望を持つ事によって自らの「生」を行き続けようとしたのである。本書は筆者の生い立ち、経歴から「高木学校」開設に至るまでの紆余曲折を作者自身の思いを織り交ぜて、率直にかつ第三者的視点で書き綴った。最初は決して「反核の闘士」ではなかった。本人が語っているように、むしろ遅くれて立ち上がった運動家の一人であった。しかし、常に「自分のスタイル」にこだわって歩いてきた人だからこそ、目差す方向に対してはまっしぐらであった。「科学者」と「一市民の」の両面からの目線で、まさに高木仁三郎だけにに出来る世界を構築してきたと言える。彼の言葉から是非伝えたい一言がある。「反原発というのは、何かに反対したいという欲求ではなく、より良く生きたいという意欲と希望の表現である。」そう考えてみると、国会周辺に抗議する市民が集まってくることにも特別な意味があるような気がする。
by tomcorder | 2013-01-15 21:14 | 日記

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