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渡霧吐夢世界

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薄暗く不透明な世に一条の光を求める一こま

読書日記6月21日(土)

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   「密約」 <日米地位協定と米兵犯罪>  吉田敏浩 2010年3月刊 毎日新聞社

 2010年の時点で、安保改定後50周年の年に、時の民主党政権は4つの「密約」を調査することを宣言し、それまで「存在しない」と言ってきた密約関連文書などが発見された。国家のウソが白日の下に晒され、それまでの数々の隠蔽の歴史が覆された。すなわち4つの密約とは
①事前協議なしの核持ち込み・通過
②朝鮮半島有事の際の事前協議なしの日本からの出撃
③有事の際の沖縄への核の持ち込み
④沖縄返還時の現状回復補償の日本による肩代わり
①②は60年時、③④は72年沖縄返還時である。これらを通し対米従属の姿勢が戦後一貫して継続しており、これまで国民の目に届かなかった機密文書が広く世間に公表されることになったのである。
1960年の安保改定に伴い、旧日米行政協定は日米地位協定として名称を変えたが、基本的には何ら我が国の主権を尊重しておらず、明治時代の「不平等条約」レベルの国辱的歴史を繰り返してきたのだ。日米地位協定やその裏側に潜む密約の数々によって、戦後数々の米兵による犯罪が繰り返さされ、多数の日本人の命が奪われたり、残酷な被害を受けてきた。しかし、米国との間に重く仕組まれた密約の数々は正当な裁判を実施することさえ覆い隠し、わが国民の基本的人権を力づくで押さえ続けてきた。そのたびたびに「日米地位協定」のもつ不合理性が問題になり、被害者、地域住民の反感は高まり、政府への不満はたまりにたまっているはずであるが、いまだに米国との間に「対等な関係で」在日米軍の起こした事故、事件を対処するシステムはできあがっていない。沖縄地方で多発する米兵による犯罪にこれまで地元民はどれだけ怒りと犠牲に耐えてきたことか。しかし、これまで沖縄以外の全土で実に多くの事件や犯罪が発生していたのだ。しかも驚くべき事実として、日本の法律での正当な裁判が行われることが極めてまれなのだ。しかも仮に日本の第一次裁判権が認められたにしても、その多くの判決例は圧倒的に米兵に甘く、残酷非道な犯罪であっても重い刑が執行されることはほとんどなかったのだ。
こういう事実の下に、今も許されない非道な米兵犯罪が止まることがないのだ。
米兵犯罪の例をたどれば、被害者、遺族にとって余りにも残酷、非道な事件が多い。日本人を「人と思ってない」と受け取られるような犯罪例もあった。
それでも日本政府はいまだに「地位協定」の骨組みを変えることができないのだ。
「集団的自衛権」を問題とする前に、「目の前の国民の命」すら守ることができないのが現政権の実態なのだ。「米兵の血が流されているのに、日本人が血を流さないでいい訳はない」などと喚いた閣僚がいた。冗談ではない。いままで戦後何年も、何人もの日本人の血が「米兵によって」流されたのだ。しかも裁判が日本でおこなわれなかったり、判決が下されてもいたって軽いは罪状で処理されてきたのだ。
軍備増強や集団的自衛権に走るより、在日米軍による犯罪から「国民の命を守る」のが、まっとうな政府のまずやるべき仕事ではないか。現政権は何を血迷っているのか。
by tomcorder | 2014-06-21 16:57 | 日記

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